GALLERY
「逃げる夢のしっぽ」
個展会場風景
2020/09/28~10/10
GALLERY KOGURE
ーこんな時代に夢日記ー
ここ10年くらい夢日記をつけている。
内容は、戦争、エロス、美術、宇宙、巨人もの、便所、死体、イカタコ頭足類、母、猫、幼なじみのひろ子ちゃん。など。高解像度の悪夢を見る。
まず寝起き5分というのが大事だ。
ここで夢のしっぽを掴まないとするりと逃げていってしまう。
自意識が発動してしまってもいけない。かといって無意識に偏り過ぎるのもよくない。
出来るだけ寝ぼけ続けた状態で、悪夢のディテールを淡々と追っていく。
「強力な合理性を身につけ、敢えて非合理の世界と向き合う姿勢を持つこと」(河合隼雄)
夢はそうやってこちらを試してくるらしい。
私が悪夢を面白がるうちは、夢もちゃんと答えてくれるようだ。
私にとって夢日記は、現実に戻って生き延びる力をアップさせてくれるものだ。
それが作品に反映されればと、シリアスにならない方向を目指して油絵におこした。
今回の個展は夢によく出てくるシチュエーションの中から、第一弾として
「母、母性」にふんわりとテーマを絞り制作した。
精神看護学に関わっている母に心理学に関する教材を貸して欲しいと乞うたところ
「ネットで調べたら?」と有難い助言をしてくれた母親に捧げたいと思う。
人に見せるつもりで書いていないものが読み手を意識した途端変わってしまうかもしれないのは残念だが、それはそれで美術の始まりでもある。
みんなの夢も聞かせてください。
撮影:髄