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フリムンの踊り

2021

キャンバスに油彩

116.7cm × 91cm

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なぜ日本の幽霊画には美しい女の姿ばかり描かれるのだろう、多くは男性側から見た女性の怨みつらみを、謎めいた描写で美しくもおぞましく描かれる幽霊画を見るたび疑問があった。
そこから、死んだことにも気づいていないような、世の執着や情念から解放された、たくましい精霊となった幽霊画を描いてみたいと取り組んだ作品。
「フリムン」とは「狂った人」「愚か者」という沖縄地方の方言で、集落に一人はいるという頼まれもしないけれど看板やおもちゃを作りお店屋さんのようにガラクタを並べて、その人達のことを集落の人はとても大切にしていたのが印象的だった。奄美では「フルムン」と呼ばれている。
背景の植物は、奄美大島に自生するアダンやソテツ、デイゴ、ヒカゲヘゴ、ガジュマルなど。エクステは琉球列島に生息する魚、イズハナダイ、セナスジベラ、キンチャクダイ、シチセンベラ。ピアスにしている「とびんにゃ」という貝は、奄美の居酒屋では定番のおつまみ。左上ナンヨウソテツの陰にルリカケスが隠れている。口に咥えたネズミは絶滅危惧種であるトゲネズミを参考にし、ネズミを捕食しているのか、敵から守っているのかは見る人次第で余白を残している。森を歩きながら、こんなものに遭遇してしまった時の新鮮な驚きのような鑑賞体験と同時に生きる力がアップする魔除けのような絵が描きたかった。